11.秘密兵器
次のクランハントまで、充分時間を見てLoginする。
ギランの外壁〜内壁でウォーミングアップ。
@「時間だよ、行く人は軒下集合〜^^」
竹流さんの号令に飛んでいく。
その日は犬をみな、減らした。
サモンモンスターに囲まれて北砂漠を進む。
サソリが、GASが寄ってくる。
あっという間に敵は味方モンスターに取り囲まれる。
私も走り寄る。
「ファルク、無駄だって^^;」
まっちゃんが声を掛けてくれた瞬間、
私はモンスター越しに攻撃を開始した。
「え!?」
ドロップを狙った訳では、ない。
私は剣に固執するのをやめただけだ。
発想の転換の第一歩。
その日は、サモンモンスターの壁を自分の盾にすることを覚えた日になった。
町に戻り、宿に集合。
みんなの視線を感じつつ、
「本日の秘密兵器(^^」
普段、私が使わないポールウェポンをお披露目。
「エルフ槍?」
ライラエさんの問いに
「フォチャード、です^^」
「両手持ちの槍じゃ、AC下がっちゃうじゃない」
「これを使うときは2列目だもの、盾はいりません」
「弓は使わないの?」
「ハンターボウ、仕入れました」
やり取りを聞いていた竹流さんがポツリと、
「ファルクも器用貧乏の口、だね(^^;」

***

「今日はバブリンの寝床、見に行こうか?」
竹流さんが提案する。
「バブリンってなんです?」
「水龍ファフリオンのこと、よ」
「海底じゃない!」
ライラエさんが驚きの声をあげた。
「いま、バブリンいないから、安全よん(^^」
「どうやって行くんです?」
「ハイネケーブ(HC)から下って行くの」
HCに潜った者など、いない。
「じゃ、仮アジト集合、ね。オレンジPが50は必要だからね。それからアデナも」
「シアンPも、でしょ?」
大急ぎで準備する。
ふと、あのフォチャードを抱えていくことにした。
かなり重量オーバーだが、なにか気になった。
ハイネの仮アジトに行ってみると、竹流さんとライラエさんしか、いない。
@「おーい、準備、まだかかりそう?」
@「竹さん、仮アジトってどこ?」
@「私も知りません」
@「僕も」
@「俺も」
驚いた。
ここは仮アジト、と言うより竹流さんの隠れ家だったんだ。
ライラエさんが、睨む。
竹流がベッドに横たわって、そっぽを向いている。
「ハイネの噴水まで迎えに行くわ」
@「ライラエさんと迎えにいくから、ハイネの噴水によろしく」
ライラエさんはクラチャ使えないので、伝言係りでついていく。
どうにか全員そろった所で、HCに向かう。
ハイネ城の先を行った岬の、壊れた灯台が入り口。
順番に階段を下りる。
「まずはエバの祝福(エバ祝)を買いましょう」
また新しい名前に遭遇。
「エバ祝を使わないと、海底では窒息するから、ね」
HC1Fを北に移動する。
廃墟の通路は狭く、モンスターが前後から襲ってくる。
竹流さんを先頭に、私、ライラエさん、Wizさんたち。
殿(しんがり)をまっちゃんが勤める。
「ほんとは騎士が先頭を行くんだよ^^;」
竹流さんが落ちつかな気に、言う。
「だって竹流さんしか、道、知らないじゃない。ねぇファルクさん^^」
「はい」
狭い通路の向こうからラミアが、バクークが襲ってくる。
隊列を入れ替えるスペースが、ない。
竹流さんは、強い。が、1人で捌き切れる数ではない。
しかも後ろはまっちゃんが防戦中。
Wizさんたちの魔法は、後ろを支援している。
ライラエさんの弓が鳴る。
ラミアと竹流さんの交戦が始まったとき、私はフォチャードに持ち替えた。
決して小柄ではない竹流さんの肩越しに、突きをいれるのは、優しくない。
どうにか撃退する。
「道は指示するから、ファルク、前行って」
その方が良さそうだ。

***

海底神殿でエバ祝を買い込み(一名、アデナを忘れた(^^;))、1Fに戻って 海底を目指す。
2Fに降りたとき、あやさんから声が掛かった。
「今日は【秘密兵器】、ないの(^^」
「あります^^」
少し広めの部屋を通る際、敵が後ろから迫ってきた。
隊列が開いてしまっていて、後方援護に間に合わない。
荷物袋から、一本の短い棒を引き抜いた。
簡単なルーンが刻んである。
エボニーワンド(コール・ライトニング・ロッド)!
交戦に入る前のモンスターを雷(いかづち)が襲い、ターゲットを分散させることに 成功。
「それが【本日の秘密兵器】ねw」
「^^」
その戦闘が終わる頃、前方でまっちゃんと竹流さんがラミアを迎え撃っていた。
狭い入り口を挟んでの戦いなので、私の剣は届かない。
フォチャードに持ち替えようとした、その時、
「しまった!」
指が絡んで、帰還スクロールを開いてしまった。
@「ごめん、ミスった」
@「慣れないこと、するからだ、アホー」
騎士同士に遠慮は、ない。
ハイネの町を駆け抜け、HCに飛び込む。
しかし、道が分からない。
うろ覚えに進むが、敵が多くて、前進できない。
@「HCですが2Fにいけません」
@「1人じゃ無理だよ。今日はあきらめて」
竹流さんの声に余裕は感じられない。
群がるモンスターに押されて、再びハイネに帰還。
変身スクロールを買って、再々挑戦。
攻撃は減ったが、道がわからない。
@「危ない人は、順次帰還してー」
竹流さんの声に、私も合流をあきらめた。

***

くやしくて再Login。
竹流さんだけが、いた。
「みんな、どこまでいけたんです?」
「3Fまではみんなで行ったけど、最後は僕だけ(^^;」
「すいません」
「仕方ないよ。気にしなさんなって」

***

私の実験は、続く。
今日はギランの東でサイクロプロスやグリフォンを狩る。
広場を抜け、犬レース場の脇を越えて、東の内門に集合・・、できるわけがない。
ほとんどの人が犬レース場を知らないんだ。
クラチャと出迎えで、どうにか集合。
東の外門を目指す。
初めてみるインプやインプエルダー。
普通、モンスターは、向こうから攻撃してくるか、仲間が攻撃されると攻撃を始める。
この2種は、他人の戦闘に割り込んでくるのだ。
インプはともかく、インプエルダーの魔法攻撃は鬱陶(うっとう)しい。
東の外門で再度隊列を組み直して、サイクロプロスなるモンスターを捜す。
蜘蛛やウェアウルフ、リザードマンが切りもなく襲ってくる。
混戦状態になった時、森の中から一つ目の巨人が迫ってきた。
これが、サイクロプロス!
他のモンスターの間隙を縫って、一撃!
ガーンっと音を立てて、RKSが弾かれる。
「ファルク、だめだ。そいつはダマ剣がいるよー」
先に言ってよ(;;)。
サイクロプロスを含む乱戦で、隊は二つに分裂、した。
竹流さん、ライラエさん、Hoichiさん、ダイヤ君で1戦闘。
あやさん、まっちゃん、私、で1戦闘。
お互いを気遣う暇が、ない。
その時、またやった(;;)
帰還スクロールが開いちまった・・。
@「ファルク、またかー」
@「ごめん(;;)」
@「どーすんだよー(TT)」
「お待たせ」
私は、戦場に戻っていた。
一瞬、みんなは「何が起こった?」か飲み込めないでいた。
「ランテレで偶然戻れたの?」
「いいえ、本日の秘密兵器w」
「どうなってるの?」
「後で教えます^^」
しばらくして、Hoichiさんが言う。
「そうか、ブックマーク、したな」
本日の秘密兵器、それはブックマークの単語登録、だった。
/bookmark 戦場
これを“qb”で単語登録する。
そして主戦場を移動する度に、qb<Enter>でその場所が登録される。
後は、ミスった時にb−テレで戻るだけ。


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