9.クランハント

翌朝、半角@は静かだ。
私は町に出た。
昨日、Hoichiさんにもらったドーベルマンを引き出す。
静かな犬だ。
凄味(すごみ)がある。
私を値踏みしている。
そう、感じた。
狩に連れ出す。
ドーベルマンは、強い。
私の出番は、ない。
私がFAを取った後は、2撃を待たずにモンスターを引き倒す。
あんたにできるかい?
明らかに私をHoichiさんと比べている。
私たちは犬小屋に引き返した。
チールとキグナスはまだ、眠っている。
私は一人で西へ行く。
何頭かのモンスターと対峙(たいじ)していると、森がカサカサと震えた。
この足音は・・。
あの、大蜘蛛が迫ってきた。
悪夢が蘇(よみがえ)る。
私は剣を振りかざす。
シミターが蜘蛛の身体に食い込む。
蜘蛛が奇声を上げる。
しかし、蜘蛛が倒れるより、私が意識を失う方が先だった。

*****

気がつくとTIの町。
町はずれに男のテレポーターが立っていた。
「本来、歌う島(SI)はお前さんぐらいの奴は入れないんだが」
男は言う。
「どうもまだ、十分じゃないようだな。特別に連れていってやるよ。」
私は少し待ってくれるように頼むと、急いでチールを連れてきた。
「用意はいいかい?すぐ戻れよ。」
男の声が消えると、小さな村にいることを知った。
雰囲気はあの渓谷と似ているが、高貴な顔立ちの若者が多い。
私は島を巡った。
やはり渓谷に似ている。
私はゾンビを中心にチールを鍛えた。
私がFAを取った後をチールに任す。
瞬く間にチールは、キグナスほどに逞(たくま)しくなった。
その時、ガードが寄ってきた。
「卿よ、島を出る時間です。」
「はい。」
私はガードに従って、SIを後にした。
私の目は懐かしい渓谷を求めていた。

*****

TIに戻るとプリンセスが寄ってきた。
「あなた、私のクランに入らない?」
「え?」
「まだ出来立てだから、騎士がいないのよ。」
「ファルク!」
後ろから声が飛ぶ。
トワさんが立っていた。
「ごめんね。ファルクはうちのなんだ。」
「そっか。」
プリンセスが去っていく。
トワさんが振り向く。
「ファルク、浮気はだめよ!」
「はい?」
私には事態がまだよく飲み込めない。
「まぁ、いいわ。気をつけてね。今度からは自分で断るんだよ。」
「はい」
「ファインダーは昨日、なんか言ってた?」
「クランハントしたいねって言ってました。」
「クランハント、か・・。じゃ、これから行こうか。」
「え?」
「一緒に狩に行こうって言ってるの。」
トワさんが笑う。
「はい、お供します。」
「では、犬小屋へ、ゴー。」



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