勇ましい。
私は後を付いていく。
トワさんは二匹のドーベルマンを引き出した。
どちらも私のドーベルマンとは比べようもなく大きい。
そしてトワさんを信頼しきっている。
私は少し考えて、チールとキグナスを引き出した。
「いい犬だね。」
まだ弱々しいシェパードを見てもトワさんは笑わなかった。
「じゃ、出発!」
森を東に向かっていく。
自信たっぷりに進んでいく。
右に折れ、急に左に曲がる。
私の後をただ付いてくるチールたちと違い、トワさんのドーベルマンは藪に潜ったかと
思うと、まるで別の所に顔を出す。
オークやウェアウルフを相手にしながら、進む。
「あれはストーンゴーレムなの。叩くと剣が壊れちゃうから、近づかないようにね。」
私にとって馴染みのないモンスターは一つ一つ、教えてくれる。
一軒の大きな建物の前に出た。
門前であの大蜘蛛が、女性ウィザードを襲っている。
うっ
息を呑んだ私を後目に、トワさんと犬たちが駆けてゆく。
まさか、見ているわけにも行かない。
私も二匹を引き連れて駆けつける。
トワさんの弓が鳴る。
私も斬り付ける。
数瞬後、蜘蛛は動かなくなった。
私のつけた刀傷は、どれも浅い。
ほとんど矢とドーベルマンの牙で倒したようなものだ。
トワさんは襲われていた女性ウィザードとなにか話していたが、
ふいっ
と森に入っていく。
私は続く。
*****
しばらく狩を続ける。
なるほど。
トワさんの弓も、決して力強くはない。
だが、確実にFAを取っていく。
あとはドーベルマンの牙と二の矢、三の矢で仕留めていく。
私も真似してみるが、うまくない。
早矢(はや)でFAは、取れる。
が、遅矢(おとや)をつがえる間にモンスターが寄ってくる。
弓を離し、盾と剣に持ち換える間に襲撃を受ける。
その度に傷を負い、赤Pに手を伸ばす。
そんな私をトワさんは面白そうに眺めている。
と、
ファインダーさんの声が流れてきた。
@「やっちゃったー。」
@「どうした?」
@「ラグって死んだら、兜を落としたTT。」
@「どうするの?」
@「なんとか作るよ。でも今は兜がない。」
私が話に加わるまでに、これだけの会話が交わされる。
@「こんにちは」
@「よう、ファルク。なにしてる?」
@「二人でクランハントよ。ファイも来ない?」
@「う〜ん、今どこ?」
「今どこ?」
トワさんが急にこっちを向く。
えっ
怪訝(けげん)な顔つきの私に、トワさんがあっけらかんと言う。
「わたし、方向音痴w」
慌てて荷物袋から地図を出す。
@「魔法屋の爺さんの畑です。」
私はまだ、半角@をつけたままだった。
@「だってさ。」
@「わかった、いくわ。」
ファインダーさんの声が途切れる。
「ふ〜ん、ファルク、地図持ってるんだ。」
「地図なしでは私は歩けません。」
「方向音痴だけど、持ってませーん。」
トワさんが笑う。
しばらくまた、森をグルグル狩して歩く。
と、海岸に出た。
@「畑にいないじゃないかー。」
ファインダーさんの声がする。
@「ごめーん、ファルク、今どこ?」
私は地図を見る。
@「魔法屋の北北東の海岸です。」
@「だって。待ってて。」
@「ウイ」
トワさんが半角@を外し、おどけて言う。
「案内してw」
私は地図を頼りに、魔法屋に戻る。
「あ、やっときた。」
ファインダーさんが待っていた。
「災難だったね。」
「TT」
「泣くなって。後でいいモンあげるから。」
あのファインダーさんが、じゃれている。
「じゃ、骨狩りだね。」
トワさんの号令。
ファインダーさんを先頭に東へ向かう。
骨狩りってなんだ?
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