BK荒地を一渡り歩いたところで、時間になった。
「骨P、取れた?」
「いえ・・」
「じゃ、これやるよ」
骨Pを2個、手渡された。
「急ぐから、これで」
「ありがとう」
Hoichiさんはどこかへ飛び去り、私もケントに戻った。
POT類を揃え、毒消し(シアンP)も買った。
イベントなんて、どうでもいい。
犬達を引き出し、さぁBK荒地へ。
と、@マークが鳴った。
@「おはよー」
トワさんの声だ
@「おはようございます」
@「ファルク、今日はなにするの?」
@「BK荒地へ行ってみようかと・・。」
@「BK荒地!どんなところか、知ってるの?」
@「さっき知り合いに連れて行ってもらいました。」
@「そう。でもファルク独りじゃ危険な場所よ。まだ行っちゃだめ。」
@「でも・・」
まさか骨Pを取りに行くとは言えない。
@「それからBB荒地もだからね。そのうち連れて行くから。わかったね」
@「・・・はい」
焦る気持ちは、ある
でもトワさんとの約束だ。
私はシアンPを売り場に戻し、TIへの船着場に向かった。

***

東の荒地とTIの町を往復する。
ゆっくりと骨Pが集まり、いつしか21個になった。
骨兜を作るには多すぎる。
私は、いつでも骨盾を返せるよう、盾の分も集めていた。
ランメタ、皮、ヘルメットは揃っている。
あと4個の骨Pが、出ない。
TIの町に戻る。
あと4個が、出ない。
騒々しさのなかに、クラン員募集の声が多い。
骨Pの売りは、ない。
やはりケントあたりに行かないと、商売は少ない。
でも、私に他人から買い物ができるかな?
自信がない。
ふと、考えた。
売り買いの声がないなら、ここでは誰も聞いていないのと同じじゃないか。
やってみるか・・。
私は倉庫の脇に立った。
あるだけのアデナを引き出す。
知り合い以外に声を出すのは、初めてだ。
足が震える。
声が、でない。
!「・・骨P、・・譲って・・・ください・・・」
誰も振り向かない。
もう一度だけ言って、ケントに向かおう。
!「・骨P、譲って・・ください」
「骨Pがいるのかい?」
眼を上げると、スケルトンが立っていた。
ぞっとする。
が、陽の光に、中の人物が透けて見えた。
「はい、」
「いくつ?」
「4つあればいいんです」
スケルトンは笑って、トレードを申し込んできた。
トレード窓に「ボーンピース(146)」と表示される。
買い取れる数なのか?
「あの、いくらです?」
「アデナはいいよ、あげる。倉庫が溢れて困ってるんだ。」
「・・ありがとうございます」
「余ったら骨セット作って、初心者に安く分けてやってくれ。」
スケルトンはKneuklid と名乗ると、どこかへ行ってしまった。

***

TIの町と町外れの鍛冶屋を回り、骨盾と骨兜を作る。
やっと組み上げた、それだけの実感。
ひとつ、深呼吸
@マークを入れる。
@「トワさん、います?」
@「ファルク、なに?」
@「ご報告したいことがあって、」
@「・・・報告って?」
@「実は、骨セットなんですが」
@「うん」
@「先日、蜘蛛に襲われたとき、無線マウスの電池切れで逝っちゃって」
@「・・・」
@「盾と兜を落としちゃって」
@「あぅ・・・それで?」
@「やっと組み上げたんですが、報告遅れてすいません。」
ほっと、@マークの両側でため息が漏れる。
@「自分で作ったのね。いいよ、気にしないで。でも注意してね」
@「はい」
その時、ファインダーさんでない、優しい男の声が流れた。
@「骨セット渡したのって、イベント初日だろ、トワ」
@「そだよ」
@「まだ3日目だよ。ずいぶん早い」
一瞬の沈黙
@「ファルク、荒地行ってないよね」
@「骨PはTIの東海岸です」
@「ホント、だね」
@「約束ですから」
@「・・・わかった」
@「今日は疲れたので、落ちます」
@「はい、お疲れ様」
Quitする私の耳にクラチャが残る。
@「ファルクって、なんであんなに急いでるんだ?」


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