SPオークが攻め寄せてくることに、変わりはない。
しかし、こっちの戦力は先ほどまでの比では、ない。
室町幕府の騎士、3人の揃い踏み。
私が、右端。
まっちゃんが、左端。
百地丹波さんを中央に置いた陣形。
「いくぞ!」
ある時は、一列で壁状前進。
ある時は、3方向散開して陣中央を広げる。
巧みにサポートし合いながら、殲滅してゆく。
百地丹波さんは、戦い慣れている。囲まれさえしなければ、強い。
まっちゃんと私は、もう一つ。
SPオークを斬りながら、まっちゃんを観察。
私とは、動き方が違うのだ。
まっちゃんは、敵の攻撃を一旦受け止めて敵の突進力を止めてから、じっくりと
倒していく。
多少の傷を気にしない。
私には、その余力は、ない。
絶えず動いて、敵の切っ先を外す。
ターゲットは私の側で決めさせてもらう(^^。
まっちゃんもまた、二人の違いに気がついたようだ。
無言で役割を、分担。
私が動けなくなる前に、まっちゃんが敵を引き受けてくれる。
まっちゃんに群がろうとする敵を、旋回しつつ、打ち倒していく。
いつの間にか、SPオークの囲みが形を残していない。
あとは簡単。
百地丹波さんの周辺に残った分を両側から片付けるだけ。

***

静寂
「すごかったね〜」
「そだね〜^^」
荷物袋を確かめて、百地丹波さんが笑う。
「うん、こうでなくちゃ。」
SPオークのトーテムが、ぎっしり。
どれが幾つあるやら、数える気にもなれない。
その時、
!「hです」
弾かれるように、駆け出す。
二人が続く。
あの声は!
SPオークの囲みの中に、時子さんが孤軍奮戦中。
陣形もなにも、私は考えなかった。
勢いのまま、突進。
手当たり次第にSPオーク達の背中に剣を当てる。
SPオークが振り返る。
あっ、という間に囲まれる。
POTはほとんど残っていない。

最初の一頭を倒す前に、まっちゃんと百地丹波さんが追いついてきた。
騎士、4人。
数瞬後、動くSPオークは、周囲にいない。
時子さんが、背を向けて立っている。
何も言わず、魔法を使う。
騎士が魔法?
「・・すいません、飛び込んじゃって」
「いいよ、あの数は1人じゃ無理」
「時子さん、魔法使えるんですか?」
「うん。でもMPなくなっちゃった^^;」
「騎士のMPなんて、飾りだと思ってました^^」
「補助的なものだけど、使えるんだよ」
「はい」
まっちゃんと百地丹波さんも時子さんとは初対面ではないようだ。
「トーテムの入るときと入らないときがあるんですが・・」
百地丹波さんが尋ねる。
「SPオークのトーテムは、一頭を1人で倒さないと、落とさないよ」
「そうなんだ・・」
勉強になる。
時子さんが、ふふっと笑う。
「じゃ、私、いくね」
「はい」
「俺たちも村に戻ろう」
「うん」
村でトーテムを清算し、報酬を受け取る。
POT類を補充しても、12k。
12kだって?
普段の何日分だろう。
「俺はもう一戦やるけど、どうする?」
「私は寝ます」
「僕も疲れた」
みんなと別れ、Wisを入れる。
>「時子さん、さっきはありがとう」
>「いえいえ、こちらこそ」
>「来てくれて」
>「どうしてるかって、思ってさ」
>「おやすみなさい」
>「おやすみ」
>「トワさんに、よろしく伝えてください」
>「・・・わかった」

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