8.Aya7

蜘蛛を捌(さば)きつつ、ランメタを集める。
集めては骨セットにして売り、ZELを買う。
ケント西の森へ向かおうとした時、クラチャが入る。
@「ファルク、WBに集合」
@「なんです?」
@「Daiyamonde君の歓迎クラハンよん(^^」
@「おぉ、行きます」
WBにつくと、Daiyamonde君に遭遇。
皆のアドバイスを受けてバサ斧から剣にしているが、防具は?
「鎧以外はドワーフセットです」
砂漠北を考えれば、少しでも武装を上げておきたい。
備の骨兜と骨盾をクラン価格(笑)で譲る。
竹流さんに連絡して、クラン倉庫のマジッククローク(マジクロ)を譲ってくれるよう
頼む。
「お〜、やった〜^^」
「かっこいいよw」
連れ立ってWB外れの畑に行く。

***

もうみんな、集まっていた。
竹流さん、ライラエさん、Hoichiさん、ガノさん、まっちゃん・・。
一様にそわそわと、落ち着かない。
竹流さんから一言。
「今日はWizさんが手伝ってくれます〜^^。ガノ君の紹介でAya7さんです」
「よろしくおねがいします」
響き渡る、澄んだファンファーレ!
「あ、この人知ってる。沙漠でハピ狩ってる人だ」
「ファルク、知ってるの?」
「強いんだよ〜」
ふふっとAya7(あやさん)が笑う。
「じゃ、PT組もうか。」
竹流さんが一人一人回り、最後にあやさんの前に立つ。
「・・わたしは、一人で・・」
「あぅ;;」
「竹流さん、嫌われたw」
皆で笑う。
「あやさん、PT組むのとクラン加入は違うんです。」
ガノさんがフォローする。
「・・そうなんですか?」
「大丈夫です。便乗したりしませんよ^^;」
ほんとか?
誰もが見つめる中で、竹流さんは平気な顔w。
遊んでいても仕方がないので、Hoichiさんが詠唱を始める。
漆黒の光輝の中からBB3体。
あやさんの眼が、鋭く光る。
ここでは狭い、とWB門前に移動。
あやさんの詠唱によって、地面に巨大な魔方陣が浮き出る。
そして6体のスパルトイ(スパ)があやさんを取り囲む。
我を忘れてあやさんの護衛に走る、わたしとまっちゃん。
しかし、銀粉に輝くあやさんを守っているのは、スパの方だった。
事態が飲み込めるまで、スパと睨み合い。
始めてみるスパ召喚だった。
「ファルク、まっちゃん、出発するよ〜^^」
竹流さんが呆れたように号令をかける。

***

狩り自体は順調。
3体のBBと6体のスパは次々にモンスを倒していく。
まっちゃんと私は、Wizさんたちを蟻やスパが煩わせないよう、周辺警護程度。
ライラエさんがFAを取り、サモンが潰す。
その間をプリとナイトが走り回る。
敵がバジででもなければ、触れることも難しい。
その上、足元に犬がいると回り込むのに時間がかかる。
「そろそろサモンが切れます」
Hoichiさんの静かな声で、撤退するまで手持ち無沙汰は否めない。
WBの宿の一室に集合。
狩りの成果を分配し、反省会&ダベり。
「・・・私、BBサモナを目指しているんです。」
静かに深いファンファーレを纏(まと)って、あやさんが呟く。
ガノさんが寂しそうに見つめているが、あやさんの視線の先にはHoichiさん。
Hoichiさんが、様々なアドバイスをする。
熱心に聞き入るあやさん。
私たちはあやさんの声の響に酔いしれていられる、この一時が幸せだった。

***

翌日Loginすると、クラチャからファンファーレ。
@「こんにちは」
え?
@「あれ、Aya7さん?入隊したんですか?」
@「はい、よろしくお願いします^^」
@「こちらこそ、よろしくおねがいします」
後からLoginしてきたまっちゃんが、Hoichiさんが、ガノさんが嬉しい驚きを伴わせて
歓迎の意を表す。
それからは、だれもがあやさんの声を【希望】と感じていた。
竹流さんも同様。
f1.竹流がAya7に「Light of Hope」という呼称を与えました。
なにしろあやさんのクラチャは派手だ。
@「ZELが出ました」
@「b−バンデットメイルが出ました」
@「DAIです」
@「ツーハンデッドソード(2HS)いる人、います?」
@「今日はバジ4匹しか、遭遇できていません」
皆を奮い立たせる。
そうしたレア・アイテムが存在し、ドロップされることが判るだけで充分だ。
噂だけのアイテムは、虚しい。
が、身近な誰かがドロップさせたなら、「いつか自分の番」が希望。
私は青Pや魔石をHoichiさんとあやさんに半分づつ回すようにした。
(まっちゃんも同様だったらしい。未確認)
Wizさんが強ければ、クラン全体が楽になる。
建て前。
まぁ、騎士はWizさんと消耗品がバッティングしないから、いいか(^^;。

***

@「みなさん、どうして私に親切なんです?」
ある日、私がLoginした直後、あやさんが尋ねてきた。
沈黙
皆が言葉を捜す。
@「マドンナ、だから^^」
@「そうだ」
@「そうだね^^」
まっちゃんが、ガノさんが、Hoichiさんが賛同する。
あやさんの照れた雰囲気が伝わってくる。

***

クラチャでHoichiさんとジャレていた時、あやさんが尋ねてきた。
@「ファルクさん、時間ありますか?」
@「あい、いつでも(^^:」
@「TI、来ませんか?」
@「行きます」
TIに行くと、北門の外だ、という。
行ってみると、あやさんが道端の木にもたれてボーっとしている。
「私ね、いろいろ疲れるとTIに来るんです。」
「私もTI、好きですよ。初心に帰れるみたいで。」
フフっと笑うあやさん。
ウェアウルフが通りかかる。
気だるげに、あやさんが指差す。
光の矢がウェアウルフを撃つ。
その時、傍らの岩ゴレとゴブリンがウェアウルフに向かって行った。
「こんな遊びしてるの^^」
「テイム?」
「うん」
「でも、なぜゴブリンなんです?w」
「あら、ゴブリン、強いのよ^^」
あやさんの横顔が寂しげ。
自信と輝きに満ちたあやさんの、隠されていたもう一つの顔。
「強い」人が見せてくれた「脆い」部分に感動していた。
あとは取りとめもない話。
「そろそろ、テイムが切れるな。ダマ剣持ってる?」
「はい」
「じゃ、私が撃ったら岩ゴレお願い」
岩ゴレを倒し、ゴブリンを切り伏せる。
あやさんに魅入られていた岩ゴレとゴブリンに一抹の同情を感じる。
「さ、そろそろ行きましょ」
いつものあやさんに、戻っていた。

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